花の宿「にしき園」 旅日記 09.5.9宿泊 by坂本のサルサ
到着

「ふぅ〜、着いた着いた」
遠くから、
近くから、
旅の途中の休憩地。
2間ほどの玄関口。
笑顔で迎えられる。
元気過ぎず、
さりげなく、
それでいて明るいお出迎え。
視界が広がるロビーに隠された想い。
旅人は心落ち着けたとき、それに気づくかも知れない。
部屋

仲居さんに導かれ、
部屋に入る。
微かな井草の香りが、
「日本」の良さを実感させるのに一役買っている。
窓辺からの景色はと言うと、
残念ながら借景日本一とは言えない。
ただ、都会のように高い建物はなく、
空を遮る物がない。
ゆえに陽の光は透明感を増し、
季節ごとにその色を変えるのが伺える。
仲居さんの入れるお茶が美味しい。
煎茶と玉露をブレンドしたもの。
苦味と渋味がない。
旨味と香りが疲れを癒してくれる。
話題豊富な仲居さんとのたわいもない話し。
楽しい時間が過ごせそうな予感。
温泉

夕食の前に汗を流す。
旅の楽しみの一つだろう。
一階大浴場。
中庭の石のウサギが
「いらっしゃいませ」
とでも言うように迎えてくれる。
温泉。
湯郷の温泉は硫黄の香りはきつくはない。
サラっとした感じ。
室内風呂もさることながら、露天は季節を通し気持ちが良い。
日と時間が合えば、
満月を見ながら楽しめる。
鷺の湯伝説に触れるひと時。
旅の途中、
万葉へのタイムスリップもまた、いとをかし。
食事

夕食は部屋でくつろぎながら。
にしき園の夕食は2人以上で摂るのが良いだろう。
というのも、
ついつい話してしまいたくなるからだ。
前菜に小鉢。
季節の色彩を織り込めた逸品。
味はもちろんのこと、
目で見て楽しめる。
少な過ぎず多過ぎず、
飽きの来ない味は食欲をそそり、
気付かないうちにデザートまで。
ゆえに、
一人で食べていると、
ついつい独り言を言ってしまう。
素敵な食事の前では、
心は正直に反応する。
くつろぎ

旅人に対するおもてなしの心は、
「接客」は言うまでもなく、単に形式的なそればかりではない。
時には旅館全ての空間がその役割を果たしてくれる。
食事の後、
入浴の後、
外出して戻ったとき、
ロビーの空間を楽しむ。
季節に応じ、空間の色彩が変わる。
いや、本来日本には、
美しい四季を楽しむために、
様々な行事がある。
二十四節気七十二候、
ややもすると言葉だけの季節になってしまいがちの現代。
にしき園はさりげなく日本を感じ、演出してくれる。
時を忘れる空間

ここには時を刻むものが無い。
これもさりげないおもてなしの一つだろう。
時計が無ければ、
不安に思う方も多いだろう。
何時になれば、とか、
明日は、とか、
休み明けは、とか、
必ずと言っていいほど時間に縛られている自分が居る。
かと言って、スケジュール帳が真っ白では不安この上ない。
しかし、
このような日常から、
心を開放し、
自由にし、
しばしの間、時間を止めてしまえる空間に出会えれば、
この上ない贅沢な時間を過ごすことが出来るのではないだろうか







